2010/10/09

「能 隅田川を味わう」を終えて

遅ばせながら、先日のトークショー「能 隅田川を味わう」のご報告をいたします。
当日は25名程度の方にお越しくださいまして、大変盛況でありました。

お話くださった味方先生も袴姿でこられ、男性の袴姿を初めて間近で見たという方も
中にはいらっしゃったのではないかと思います。
ちなみに私も味方先生が袴を着られる姿を見たことがありますが、
するするーっと一瞬でお召しになって、びっくりしました。

私としては、お能というやや高度な文化を、必要以上に簡単・単純にすることなく、
皆に受け入れられ、能愛好者が増えることを祈りましての会だったのですが、
いかがだったでしょうか。  
トークショー後、皆さんから色々と感想を聞いたので、それとともに報告とします。

●編集者の方の感想●
先生のまず一言め、「能は神事、だから難しいです!」というが心に残った。
能は難しい。だから分からなくてもいい、見てるだけでよい。
その辺りをお察しくださったのでしょうか。その感覚を『神事』という言葉で説明した先生。
勉強になりました。

●服飾を学ぶ大学4回生の感想●
能の装束は厳密に決められたものだと思っていたが、実は演者のコーディネートによるという事を知って驚いた。今後の舞台で、選んだ配慮などを考えたい。
能のゆとりの部分を知ってもらえたという事だと思います。
オーケストラの曲が指揮者によって変化するように、幾度も稽古をしているうちに、
それぞれの解釈・感性が取り込まれ、一シテ方の演目が完成するのだと私も思います。
ご自身の専門分野からお能に一歩入っていただいて、嬉しく思います。

●お能、全くの初心者の大学4回生の感想●
とてもユーモアがある先生のお話が楽しかった。トークが面白くて能の世界に引き込まれました。でも急に謡われたときは、驚きました。
味方先生はほんとうに何に関しても分かりやすくお話してくださる先生です。
やはりどんなに素晴しい文化であっても、『良さを上手く伝える』というお仕事、
だれもが出来ることではないと思います。その点、感想を読んで改めて先生を
尊敬いたしました。謡の勢い、素直に驚いてもらって、嬉しく思います。

●お能、全くの初心者のデザイナーの感想●
お能に関して興味がわき、『隅田川』以外もみたくなりました。
先生の幼少期に話が楽しかったです。
この方は後日「廣田鑑賞会能 『三井寺』」にも来てくださりました。嬉しく思います。
表舞台も大変素晴しいですが、幼少期をはじめとする『舞台裏』を知ってこそ、
お能に限らず、文化というものはより一層面白みを増すと思います。
やはりどんなにすごくても、同じ人間だと思います。
赤裸々なお話を聞けたこと、私も幸運に思います。

今回のトークショーで、何かしらそれぞれのお能の「取っ掛かり」を発見してくださった
ことだと思います。元お能初心者の友人が「お能って不思議。似たようなものやのに、
見るたびに感じることが全然違う」と言っておりました。彼女は年に2度ほど、
一緒に見に行く仲なのですが、まさにまさにそうだと思います。難しい分、
見るたびに繊細な感動・発見があって、それが面白さなのではないかと思います。
皆さんがふとしたときに、また能楽堂に足を運んでくだされば…と思います。

樋口





私の友人は、味方さんのお話が面白く、観る前にお能への興味がいっそう高まった
と言っていました。気さくな人柄と、お能への熱い思いがひしひしと伝わってきました。
お話のあとの懇親会でもたくさんお話くださり、参加された方からの質問にも
一つひとつ丁寧に答えてくださいました。この場を借りて、あらためてお礼申し上げます。
ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。



さて次回、第4回の2025年の京都カフェは、11月28日(日)に、市内から少し離れますが、
京田辺市の澤井家住宅を見学に行きます。
上方探索倶楽部で仲良くなった、建築学校の方々も数名いらっしゃるので、
色々と教えてもらえることを楽しみにしています。

2010/10/01

FM79.7「ふるさと京都、夢・知恵・元気わくわく塾」に出演

先日9月19日、隅田川の会の宣伝もかねて樋口が、ラジオカフェの番組
「ふるさと京都、夢・知恵・元気わくわく塾」に出演させていただきました。
お能に興味を持ったきっかけなど、たっぷりとお話させていただきました。
その時の音源がアップされていますので、下記よりお聴きください。

能「隅田川」を味わう―京町家室町遊子庵

2010/09/20

ボンズカフェに出演します

9/30追記----------------------------------------------------
先日出演させていただいた回の音源と写真が、
ボンズカフェさんのブログにアップされています。
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9月21日の22時から23時、FM79.7ラジオカフェの番組「京都三条ボンズカフェ」に
24日の「能 隅田川を味わう」の宣伝もかねて、樋口がゲスト出演することになりました。
上記リンク右下より、インターネットで生放送の視聴もできますので、
みなさまよろしければお聞きください。

この番組をされている梶田さんが貫主を務める法然院さんには、
私たちも梅小路公園の未来を考える会の会場としてよく訪れています。
ご存知の方も多いかと思いますが、山際に建つ、緑の多い良いお寺です。
機会がありましたら、訪れてみてはいかがでしょうか。

2010/09/07

能「隅田川」を味わう

9/23追記----------------------------------------------------
遊子庵さんの場所の表記を間違えていました。
ただしくは「室町御池上ル西側」です。大変申し訳ありません!
明日いらっしゃる方は、お間違いないようお願いいたします。
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秋暑厳しい日が続きますが、いかがお過ごしでしょうか。
さて今月、3回目の「2025年の京都カフェ」の詳細が決定いたしましたので
お知らせいたします。

今回は観世流シテ方の(シテというのは主役という意味です。
お能は主役をする人、相手役をする人というのが修行やおうちで決まりますので)
味方 玄(しずか)先生をお招きし、先生が10月23日に舞われます能「隅田川」を中心に、
能の味わい方をお話いただこうと思います。

今回は先生のご好意もありまして、券も大変お安く設定していただきました。
先生にじきじきに話してもらい、そして能を観るという機会、普段はこのような
お値段ではありませんので、是非一度お越しくださればと思います。

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平成22年9月24日(金)19:00より
京町家室町 遊子庵にて
[室町御池上ル西側・地下鉄「烏丸御池」北西側出口より徒歩3分]
参加費:3,000円(軽食代・10/23能鑑賞代込)
※10/23鑑賞されないという方は、ご相談ください。
お申し込みはこちらから。
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能愛好者のひぐちから申しますと、能とはいきなり観て分かるものではありません。
それが難しいというのではなく、「そういうもの」なのです。その代わり、
新しいものがバンバン出来るというわけでもないので、同じものを何度も味わう
という感覚ともいえると思います。
下手な例をあげるとすると、百人一首を何十年も楽しむ人がいるとか…、
もっと俗な例を言いますと、お気に入りのマンガは何回読んでも、ストーリーを覚えても、
読むたびに楽しいという感覚かと思います。

閑話休題、能とはそういうもので、先に種明かしをしてもらったほうが良いのです。
ストーリーなんて覚えるどころか、単純すぎて覚えるうちにも入らないといったほうが
いいと思います。そして能は、いくら他人が明かしたからと言って、
自分の解釈、想像の余地は無限にあるものだと思います。

色々と勝手なことを申しましたが、9月24日(金)、是非お越しくださいませ。
味方先生も今の能楽会で若手として東京を始め、京都、関西でも人気な先生です。
荒々しい舞が魅力な物腰やわらかなお茶目な先生です。
またご都合のつく方、是非是非10月23日(土)も足をお運びください。

お申し込みはこちらからお願いいたします。

2010/08/22

天若湖アートプロジェクト “あかりがつなぐ記憶”

8月7〜9日に開催されていた天若湖アートプロジェクト2010に
ラジオメンバー+お友達で行ってきました。

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天若湖アートプロジェクト2010<あかりがつなぐ記憶>

「あかりがつなぐ記憶」は、日吉ダム・天若湖全体を舞台にした壮大なアートです
8月の夜、2晩だけ、水没した天若集落(約120戸)の家々のあかりが、ダム湖面
に浮かびます
時空を超える幻想的なあかりをぜひ体験してください。

場所:京都府南丹市、日吉ダム周辺
http://amawakaap.exblog.jp/
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期間中は「桂川で遊ぼう」ワークショップや地域の子ども作の足元灯
「あかりのみち」など、光や自然とふれあえる様々な企画がされていました。

さて道中。
向かう先は日吉ダム周辺。
ん?周辺?

どこ???

持ってきた地図もアバウト過ぎて指しているのは道なき道…
地元の方に道を聞いて(それでも迷って)やっと着きました。
ドライバーさん、ごめんね!

それではメインのアートプロジェクト。
水面に青く淡い光が無数に浮かんでいる様子は
ベタな表現ですが、幻想的。




車で湖周を移動したりちょっと歩いたりして色んな角度から見て回りました。
橋の上や木々の奥から眺めていると、周辺の景色と淡い光が色んな表情を見せて
くれました。

最初は単にキレイだなぁと感じていたものが、
地元の方と少しお話して「あそこに小学校があったんや」などなど、
聞いているうちにあの光は幻想なんかじゃなく、
実際に人間の営みがあった場所なんだという思いがしてきました。



考えてみればプロジェクトの目的はいたってシンプル。
「そこに天若集落という人々の暮らしがあったことを知ってほしい」

資料で読むのではなく、模型で見るのではなく、
実際にその場所で人の息づかいを感じる。
そうすることで、すぅーっと体に入ってくる実体験に近い感覚がありました。

このアートプロジェクトの大切さは、そんなところにあるのかも知れません。



移動中にカメラ好きのおっちゃん達と遭遇、
毎年このイベントを撮影しに来ているとのこと。
「イベント主催者さんがキレイに見えるように頑張ってくれているんだから、
わしらはそれをキレイに撮れるように頑張らなあかん。」
というお言葉、色んな楽しみ方がありますね。

最後は林道を1kmほど歩いて湖のふもとまで。
夜風がとっても心地よく夏の夜とは思えない涼しさの中で、
しばし思い思いの時間を過ごしました。




ただ、自然っていいなぁと思うには何かが違う違和感。
対岸には管理棟が煌々としており、私たちはコンクリートの上。。
ん〜、ダムやもんな。。

多くの方の尽力で運営された天若湖アートプロジェクト2010。
携わった方々と、紹介してくれた下村泰史先生に感謝いたします。

このプロジェクトが来年以降も続けられていくことを願っています。

完山 祐毅

2010/08/17

肌で感じること、大切にすること

8月16日放送分では昔ながらの楽しみ方を考え、
日々実践しておられる加藤わこさんに来ていただきました。
→加藤わこさんについての詳しい情報はこちらを〈加藤わこ三度笠書簡

冒頭は「ほんとの自然との関わり方」について
ご自身の体験された驚きのこどもキャンプについてからお話ししてくださいました。
要旨は「本物の自然に出会う場がどんどん減っているね」
「本物に触れないと、愛着って沸かないよね」
「水族館で見る生態を見て、愛着がわくのか、教育になるのか?」
というあたりだったのですが、6分では伝え切れなかったこと、
オフレコで心に留まった言葉があるので、それを少々記します。

“ケガをしたっていいんじゃない?スリルも楽しみの1つじゃない?”

まず林と樋口が驚いたのが、大人たちによって囲われた川の中で遊ぶということ。
このキャンプの目的は「安全に何事もなく楽しむ」ということで、こどもは絶対に
ケガをしてはいけない(させてはいけない)らしいです。
囲いから出ようとした子がいたら、厳しく怒られるとか。
私たちはすでにここに疑問が。私たちが体験したキャンプって、元気のいい子の半分は
大なり小なりケガをしていたんじゃないでしょうか。絆創膏はみんな持参だったし、
言葉にはしませんがある意味では擦り傷程度の負傷は、前提だったのではないでしょうか。

そのうちにちょっと大きなケガをした子が出てきて、すると少し大きな絆創膏を
持ってきた女の子が活躍することがあって…という光景が思い出されます。
私も男の子とやんちゃに遊ぶ子どもだったので、かすり傷や打ち身は負って当たり前
という感覚だったように思います。そもそも危険な岩場を歩いたり、髪の毛に草が
いっぱいつくようなところをくぐったりするのが楽しかったのではないでしょうか?

林が「キャンプはそういうスリルが楽しいよね。あと、海外旅行なんて行けば
トラブルなしのほうが珍しいし……。」と言っていました。まさにそうですよね。
自然の寛大なスリルで楽しむことと、外国でのヒヤッとする危険を乗り越えること。
全く同じだとは思いませんが、通じるものはあるかもしれません。

社会に出れば出るほど、スリルどころか危険に遭遇することは増えるでしょう。
子どもが元気で乗り越えられるケガくらいは、大目に見てほしいと思います。
それをたくましいね!ってほめてあげてほしいです。むしろあまり大切に
育てすぎてしまうと、弱い大人になってしまいそうです。

“ほんとの自然と出会うこと。研ぎ澄ませて遊ぶこと”

そして話は及んで、ものを愛するということについて。
大人によって囲われた川は、こども達にとってどんな「川」に映るのでしょうか?
私ははっきり言って、それを「川」って言ってほしくありません。
わこさんも林も同意見でした。

川というのは、緩やかな流れがあったり、深みがあったり、急に冷たい水の流れが
あったり、静かな水面で石をひっくり返すと変な魚がいたり…その他色々。
ちょっとした緊張の中、発見だらけで五感を働かせて遊べるところが川だと思います。

また「キャンプで汚れた食器を洗うとき、合成洗剤はダメでしょう。川が汚れるし
第一、洗剤は自然のものではありません。砂で洗おうよ、十分きれいになるし、
自然にも優しいよ」という、わこさん。
まさにそうですよね。せっかく大自然の中にいるんだから、油汚れを洗剤とスポンジで
ゴシゴシ…という台所とは違う炊事をしたいです。そしてそうすることで洗剤の怖さや
川を大切にする気持ちが芽生えるのではないでしょうか。

山にいろんなものを持ち込んで、その中で町の生活をすることは
「自然を体験すること」ではありません。自然の雄大さを感じながら、
人間の小ささを知りながら、1日を生きてみる。大きな準備は必要ないと思います。
できるだけ自然に合わせて過ごすことが自然を体験することではないでしょうか。

“愛するとき。そのもののことを真剣に考えられるとき”

そして話はものとの関わり方から愛することについて。
なんでも本物に触れていなければ、そのもののことを大切に考えることは出来ない
という話になりました。
つまり本物の自然に触れていなければ本当に自然を知ったとはいえないし、
本当に知らないものをこころから愛することは出来ないということです。

先ほどの話で言えば、囲われた川の中で遊んだ子は、川の生き物や水のことを
真剣に考えられるか…ということです。
そのものとじかに触れ合っていないと、うわべだけではなく心から愛することは出来ないし、
そのためになにか行動するということもできないのではないかということです。
これは自然だけではなく、街についても言えることです。

わこさん曰く、「車で通りすぎる街を愛することが出来ますか?道を歩くからこそ、
街に愛着がわくのではないですか?結局じかに触れて愛するということは、
お金もかかりませんが、とても地道なことなんです」と。
たしかにそうですよね。キャンプでも、連れて行ってもらったきれいな場所よりも、
自分で見つけた石の下の昆虫の住処のほうがドキドキします。
街でも教えてもらった場所よりも、自分で発見した場所の方が特別な気がします。

つまりはゆっくりでも地道に触れ合っていくことが、
そのものを愛するための一番の特効薬ということです。
それが明日、自然を守るため、街を元気にするための第一歩となるということでしょうか。

……考えさせられます。
「歩くまち京都」。まさにそうですよね。
かたや「内陸型水族館」……。考えさせられます……。
とりあえず、五感を研ぎ澄ませて街をあるいてみますか。
なにか発見があるかもしれない!!

それではわこさん、ありがとうございました。

樋口

2010/08/07

水族館シンポジウムの感想+α

第17回の放送で、梅小路公園の未来を考える会さん主催のシンポジウムに参加して
特に心に残ったことを少しだけお話しました。とても濃い内容でしたので、
短い時間の中で伝えきれなかったお話がまだまだありました。もう少しだけ。
第17回のラジオの放送はこちらから

考える会の主催者のお一人、法然院の梶田さんが合間にされた短いお話。
『法然院(森のセンター)では、毎年ムササビの観察会をしていますが、
毎回ムササビが観られるというわけではないのです。
観られないこともある。それが自然というものなのです』

子どもたちに(大人にも、ですが)動物園や水族館に行けばいつでも観られる、
でもそれが当たり前だと思ってほしくないな、ということです。
動物だっていきものです。こちらが観たい!と思ってもその通りにしてくれるとは
限りません。でもショーのように「行けば観られる」という考え方だと
本当の自然がわかったとは言えないのではないでしょうか。

また、それにつながるのですが、中村桂子さん(JT生命誌研究館館長)のお話で、
 『(いのちの輝きとは・・・という話からの流れで)いのちっていうと、
輝きや美しさという部分だけではないんですね。そもそも、生きるということは、
めんどうなことを受け入れることで、でも今の時代、苦労せずともなんでも
ボタン一つで出来てしまうことが多いですね・・・』

テレビのリモコンにしろ、全自動洗濯機にしろ、ボタンを押せば
すぐさまやりたいことができてしまう、便利な世の中になりました。
そういった便利な機能を使うことで、その分、他のことに時間を回せるといえば
良いことにも感じられますが、それは「手抜き」をしているとも言えるのです。
何の努力をせずとも豊かさ・楽しみを得られる。そんなことが当たり前の世の中に
なっているのではないでしょうか。もちろんそれを全否定するわけではありませんが。
そういった社会のなかで、水族館や動物園が求められているような気もします。
めんどうなことも多いですが、そこで思考停止に陥らずに、
みんなでいい方法を考えていきましょう。と水族館の話につながりました。

また、中村さんは動物園や水族館で非日常的な動物に触れる前に、
自分の身近にいるいきもの、昆虫や植物などをじっくり観察することも
大事だとおっしゃっていました。
そういった身近のなんてことないものを大切に見守ることのほうが
「いのちの大切さ」を実感できるような気もしますね。

ゴリラの研究者である山極寿一さんは、動物園についてのお話も。
動物園はできてからしばらく動物の収容施設でした。
動物にとって居心地のよい場所を作ろうとしたのは100年以上経ってから。
ゴリラも飼育しはじめてから子どもを産める環境になるのに100年かかりました。

水族館は動物を訓練させてショーとして魅せる、まだその域から出ていません。

環境や生物多様性などに配慮を見せる京都という都市に新たに水族館をつくるなら、
ものすごい覚悟の上でやらなければならないでしょう。
また、ショーというものは、見る側に誤解を与えやすいものです。
テレビなどで放送される動物を擬人化したようなものでも、
誤った情報を流していることがあります。

‥‥‥‥‥‥
梶田さんのムササビの話で思い出しました。以前カナダのイエローナイフという町へ
オーロラを観に行くツアーに参加しました。イエローナイフはオーロラが見える町として
世界的に有名なところです。

オーロラを観るツアーですから、いちばんの目的は「オーロラ」です。
でも、オーロラは自然現象です。太陽から飛んでくる粒子が、地球の周りを囲む大気圏で
酸素などとぶつかり、いろいろな色で発光します。当然のことながら、条件が揃わないと
観られないこともあります。

お金を払っていくからにはなんとしても観たいと思うものですが、ツアー3日間の設定で
観られずに帰らなければならないこともあるそうです。もちろんツアーの概要にも
免責として「観られないこともある」と書いてあります。

私の行ったときは運よく観られましたが、観られなかったらなんだか納得いきませんよね。
でも、それが自然なのです。思うようにはならないから、自然なのですね。
そう思うと、人間も自然の一部。人を思うように動かしたいと思ってもそうはいかない、
それも納得できる気が。

 
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